呼吸器内科

RESPIRATORY MEDICINE

RESPIRATORY MEDICINE

呼吸器内科

呼吸器内科について

風邪や咳が長引いたり、呼吸困難、胸の痛みといった症状があるときや、健康診断での検査異常を指摘されたときに、その診断・治療を行います。呼吸器疾患は気道から肺に至るいずれかの領域での異常による疾患群で、咳や痰などと言った症状が中心です。当院は時に呼吸器診療に力を入れており、長引く咳や痰、息切れなどでお困りな方はぜひご相談ください。病状により対応困難な場合は、専門医療機関へご紹介します。

実施している検査

血液検査

  • 血液一般検査
  • 血液迅速検査

白血球、炎症反応(CRP)をその場で測定し、感染症の重症度を速やかに診断して 治療方針を決定します。
10分以内に検査結果が出ますから、その日のうちに 治療が開始できます。

アレルギー検査

アレルギー原因物質(アレルゲン)を特定します。症状から必要な検査項目を絞りこんで最小限の検査を行うことで、
患者さんの負担を抑えます。

尿検査

胸部レントゲン検査

心電図・24時間ホルター心電図

レントゲン検査(胃・大腸)

※要予約

超音波検査(腹部・心臓・頸部)

※要予約

CT検査

医療機関で胸部レントゲンに指摘を受けた場合の再検査が可能です

呼吸器内科で治療できる症状・疾患

風邪

かぜという病気の定義が曖昧ですが、鼻から喉に至る上気道にウイルスや細菌が感染して起こる炎症で、
くしゃみ、鼻づまり、咳や喉の痛みが中心になります。原因のほとんどはウイルスでその種類は
100〜200種類と言われています。ウイルスには抗生物質は無効ですので、基本的には対症療法となります。
明らかな喉の化膿などが見られる場合に抗生物質を使用することになります。咳に関しては色々な疾患で
見られる症候であり、中には重篤な疾患が隠れていることもしばしばあります。
その際に適切な診察・検査を行うことで鑑別していることが大切です。

急性気管支炎

上気道を超えて声門より奥が気管支になりますが、そこにウイルスや細菌が感染することで生じる炎症です。
風邪から生じることも少なくなく、咳や痰が出るようになります。治療は風邪と同様です。

肺炎

気管支よりもさらに奥の肺組織に病原体が感染して生じます。新型コロナも肺炎を起こしますが、
通常の市中肺炎では細菌によるものが圧倒的に多いため、治療は基本的に適切な抗生物質の投与となります。
軽症から重症のものまで幅広く見られ、軽症であれば外来治療は十分可能ですが、中等症以上の場合や
外来治療にて効果が乏しい場合は原則入院を要します。その際は適切な医療機関をご紹介いたします。

慢性閉塞性肺疾患

主に長年の喫煙による肺組織の障害により肺からの酸素の取り込みが悪くなったり肺の換気量が低下して
二酸化炭素が吐き出しにくくなる病態で、初期症状は体動時の呼吸困難、進行すると常に呼吸が苦しい状態が
続き、酸素投与が必要になったりします。
治療の第一は禁煙で、さらに症状に合わせて吸入薬や内服薬を使用します。

肺非結核性抗酸菌症

中年以降の女性に比較的多く見られる疾患で、原因は肺内に非結核性抗酸菌が感染・定着して
数年〜数十年かけて肺組織が破壊されていく病気です。
結核とは明確に区別でき、人から人に感染することはありません。無治療でも進行が見られない場合は経過観察となりますが、進行が見られる場合は適切な薬物治療が必要になります。長期に沢山の薬を飲まなければいけなくなることが多く、比較的厄介な病気と言えます。

間質性肺疾患

原因がなく肺に間質性肺炎を呈する病気を特発性間質性肺炎、膠原病・リウマチ疾患から生じるもの(間質性肺炎)や薬剤の副作用として生じるものなど疾患概念が複雑で呼吸器専門医でなければ対応の困難な病気です。
治療で治るものや難治性でどんどん進行して死に至るものなどいろいろな種類があります。

気管支喘息について

気管支喘息とは

気管支喘息は、気道(空気の通り道)に慢性的な炎症が起こる病気です。
炎症によって気道が敏感になり、ほこりやタバコの煙、運動、寒暖差などの刺激で、咳や息苦しさ、
喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという音)、胸の締めつけ感などの症状が繰り返し起こります。
子どもから大人まで幅広い年齢で発症し、大人になってから発症することもあります。

喘息の治療は段階的に行います

喘息の治療は、症状の頻度や重さに応じて、段階的に調整していきます。
治療の基本は、気道の炎症を抑えることと、発作を予防することです。

軽症の喘息
  • 治療内容: 主に吸入ステロイド薬(ICS)を使用します。症状が軽い場合は、
    必要時に吸入する薬(レリーバー)だけでコントロールできることもあります。 

【目標】 発作を予防し、日常生活に支障が出ないようにします。

中等症の喘息
  • 治療内容: 吸入ステロイド薬に加え、長時間作用型β2刺激薬(LABA)などの併用治療が必要になることがあります。

【目標】 症状を安定させ、夜間の咳や運動制限が起きないようにします。

重症の喘息
  • 治療内容: 吸入ステロイド薬と複数の薬剤(LABA、ロイコトリエン受容体拮抗薬など)を組み合わせても症状が続く場合、より強力な治療や、内服薬(ステロイド、テオフィリンなど)が必要になることがあります。

【注意点】 発作が重いと、救急対応や入院が必要になる場合もあります。

難治性・重症喘息と生物学的製剤

通常の治療を行っても症状のコントロールが不十分な場合、「重症難治性喘息」と診断されることがあります。
このような患者さんには、生物学的製剤(バイオ製剤)という新しいタイプの注射薬による治療が有効な場合があります。

生物学的製剤とは?

生物学的製剤は、喘息の原因となる特定の炎症物質(好酸球、IgE、IL-5、IL-4/IL-13など)を標的にして働く薬です。
従来の治療では抑えきれなかった炎症を、よりピンポイントに抑えることができます。

主なバイオ製剤
  • オマリズマブ:商品名 ゾレア(抗IgE抗体)
  • メポリズマブ:商品名 ヌーカラ(抗IL-5抗体)
  • ベンラリズマブ:商品名 ファセンラ(抗IL-5レセプター抗体)
  • デュピルマブ:商品名 デュピクセント(抗IL-4/IL-13受容体抗体)
  • テゼペルマブ:商品名 テゼスパイア(TSLP阻害抗体)
使用対象
  • 通常の吸入治療を続けても週に何度も症状がある
  • 年に複数回、ステロイドを使う発作がある
  • 夜間や朝方に症状が頻繁に出る

通常治療を行なっても生活に支障が出る場合、医師の判断により生物学的製剤の使用を検討します。副作用が少なく極めて有効ではありますが、最大の欠点は非常に高額な薬剤であり保険診療においても金銭的な負担が大きくなるため、使用に際しては特に慎重に、またご本人とも状況を確認しつつ導入することとなります。

当院の取り組み

当院では、ガイドラインに基づいた段階的治療を丁寧に行い、患者さんの症状や生活スタイルに応じた最適な治療を提供しています。重症難治性喘息に対しても、各種生物学的製剤の適応判断・導入・継続管理を行っています。
「咳が止まらない」「薬を使っていても良くならない」などの症状は頻繁に見られますがそれらを的確に診断し症状を軽減するよう最善を尽くしておりますので、お困りの方はぜひご相談ください。

COPD(慢性閉塞性肺疾患)について

COPDとは

COPD(シーオーピーディー)は「慢性閉塞性肺疾患」の略で、主に長年の喫煙などが原因で肺に炎症や損傷が起こり、息切れや慢性的な咳、痰(たん)などの症状が続く病気です。代表的な疾患には「慢性気管支炎」や「肺気腫」があります。空気の通り道(気道)が狭くなり、肺の機能が低下することで、特に呼吸時の息苦しさが顕著になります。進行性の病気で、早期の発見と治療がとても重要です。

主な症状
  • 動いたときに息が切れる
  • 咳が長期間続く(特に朝方)
  • 痰がからむ
  • 呼吸が浅くなった感じがする

これらの症状がある方は、喫煙歴にかかわらず早めの受診をおすすめします。

COPDの主な原因とリスク因子
  • 喫煙(最も大きな原因)
  • 受動喫煙
  • 大気汚染や職業性粉塵
  • 遺伝的要因(α1-アンチトリプシン欠損症など)
診断について
  • 問診・診察:症状や喫煙歴の確認
  • 胸部レントゲン/CT検査:肺の構造変化の確認

治療について

COPDは完治する病気ではありませんが、進行を遅らせ、症状を和らげることが可能です。当院では、ガイドラインに基づき、患者さん一人ひとりに合わせた治療を提供しています。

軽症〜中等症の場合
  • 禁煙指導(最も重要)
  • 吸入薬の使用(気管支拡張薬や吸入ステロイド)
  • 呼吸リハビリテーション:肺の使い方をトレーニングし、体力や生活の質を高めます
重症〜最重症の場合

肺機能が著しく低下し、日常生活にも支障が出るようになると、以下のような在宅医療が必要になります。

在宅酸素療法(HOT)

重症のCOPD患者さんでは、血液中の酸素濃度が慢性的に低下することがあります。
その場合、自宅で酸素を吸入する「在宅酸素療法(Home Oxygen Therapy)」が有効です。

在宅酸素療法(HOT)について
  • ポータブル機器もあり、外出時にも使用可能
  • 酸素療法により、息切れの軽減や心臓・全身への負担の軽減が期待できます
  • 医師の管理のもと、機器の調整・場合によっては訪問看護と連携して安全に行います

在宅人工呼吸器管理(NPPV)

さらに進行した患者さんや、睡眠中に呼吸が弱くなる方には、「在宅非侵襲的陽圧換気(NPPV)」という機械での人工呼吸管理が必要となることもあります。

在宅人工呼吸器管理(NPPV)について
  • 鼻や口にマスクを装着し、呼吸を補助する機械を使います
  • 睡眠中や夜間に使用し、呼吸の補助とCO₂の排出を助けます
  • 在宅療養でも安全に管理できるよう、当院では往診及び訪問看護とも連携してサポートを行っています

当院での対応

当院では、軽症から重症まですべてのステージのCOPDに対応しています。診断から治療、在宅酸素・在宅人工呼吸器管理に至るまで、患者さんの生活の質(QOL)を高めることを第一に考えサポートします。
「最近息が切れやすい」「昔からタバコを吸っていた」など、気になることがあれば、お気軽にご相談ください。